企業イノベーションの創出メカニズムの根幹にあるのは、「知の探索(exploration)」と「知の深化(exploitation)」のバランスだ。ヨーゼフ・シュンペーターのイノベーションの定義は「新接合」であるが、人や組織は認知に限界があるので、知の探索により認知の範囲に出て、知と知を新しく組み合わせる必要だとされる。一方、そこで生まれた新しい知は徹底的に深掘りされて、収益化につなげる必要もある。オープンイノベーションにおいて、この探索と深化が高いレベルでバランスよくできることが求められる。
しかし、人・組織は認知に限界があり、探索はどうしてもコストがかかる。しかも探索は不確実性が高いので、組織はどうしても知の深化に偏る傾向にある。結果として知の探索をなおざりすれば、当然ながらイノベーションが枯渇するのだ。
「The HOPE」では、大手企業の「知の探索」を支援することで「新接合」を生み出すことでオープンイノベーションを実現する取り組みだ。具体的には、VC、CVC、エンジェル投資家を審査員に招聘し、スタートアップ企業の資金調達に向けたピッチイベントの開催を取り組んでいく。そこで取り扱うテーマは世界における社会的、経済的、環境的な課題。互いの希望を共有し合うことを出発点とし、ステークホルダーのアセットを持ち寄り、新接合のポイントを明確化していく。当然のことながら、フェーズごとに著作権委員会と協議しながら知的財産権や著作権を保護しながら、リスクコントロールを仕組化することが不可欠だ。この一連のオープンイノベーションの総合的支援をを日本の大手企業、スタートアップ、そこに期待を寄せる投資家の希望を接合するという意図から「The HOPE」と名付け、募集を開始した。