なぜ今、SWOT分析なのか
SWOT分析の意味
SWOT分析とは、重要成功要因や事業機会を導き出すため、自社の外部環境と内部環境を整理する分析手法である。戦略策定に向け、3Cと一緒に行うことで有効性が高くなる。
- 強み(S):目標達成に貢献する企業の特質
- 弱み(W):目標達成の障害となる企業の特質
- 機会(O):目標達成に貢献する外部の特質
- 脅威(T):目標達成の障害となる外部の特質
要素を内的要因と外的要因に大きく分類することができ、各要素の主なものは下記の通り。
強み・弱み (内的要因)
- 資源(財務・知的財産・立地)
- 顧客サービス
- 効率性
- 品質
- 材料
- 経営管理
- 価格
- 輸送時間
- コスト
- 容量
- 顧客との関係
- 知名度
- ブランド
機会・脅威 (外的要因)
- 規制
- 市場動向
- 経済状況
- 株主の期待
- テクノロジー
SWOT分析の背景
SWOT分析については3C分析と同様に市場における自社の競争力を高めるために事業のKFS(重要成功要因)を見つけ出すことである。ネガティブな要素とポジティブな要素を分けて考えることが重要。事業の重要成功要因と自社の強みがフィットしていない場合は、重要成功要因そのものを変えるために積極的に外部環境に働きかけて業界のルールを変えるか、自社の強みの構造を変革することが必要となる。注意点としては、SWOT分析は社内・社外のプラスマイナスの各要素を客観的に把握することができ、現状の理解を深めることができるというメリットがある一方、強み・弱みに分類しにくい要素もあるのため、分類時にディスカッションが必要となる。
SWOT分析の方法
まずはマクロ環境や業界・市場環境を分析し、市場における「機会」と「脅威」を整理する。この時、何が事業の重要性好要因なのかを十分に検討しておく。次に、自社と競合を分析して、自社の「強み」と「弱み」を整理し、競合優位性をよく見極める。そして、市場における機会と脅威に対して、自社の強みを活かし、弱みを克服するにはどうすればよいかを考え、自社にとっての機会を見つけ出す。最後に自社の重要性好要因と事業機会を理解し、自社に対する理解を深める。そして、経営戦略を考える上での前提となるインプットにする。
SWOT分析の歴史
SWOT分析は、経営学者のヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)による基本的なフレームワークで、企業内部の能力と外的環境を適合する経営戦略を策定するためのものである。経営戦略とは内的状況と外的環境を一致させることであるという立場は古くからあるが、これが戦略策定プロセスとして明確になってくるのはハーバード・ビジネススクールののケネス・R・アンドルーズ(Kenneth Andrews)らによって書かれた「Business Policy: Text and Cases」(1965年)からだとされる。同書はビジネススクールの教科書に用いられ、ここに示された機会・脅威・強み・弱みから企業を分析し、経営戦略から中長期計画を策定する方法は、米国で広く普及した。
一方、スタンフォード研究所(SRI)では1960年代にアルバート・ハンフリー(Albert Humphrey)らが企業の長期計画がなぜ失敗したのかを明らかにするという研究プロジェクトを行っていた。この中で企業活動などの良し悪しを明示する仕組みとして、「SOFT分析」という方法が考案された。すなわち、現状における良いという評価を満足(S=satisfactory)、将来における良いという評価を機会(O=opportunity)、現状における悪いという評価を失敗(F=fault)、将来における悪いという評価を脅威(T=threat)に分類するものである。これが1964年にFがWに変更され、「SWOT分析」という言葉が生まれたという。「SOFT分析」と「SWOT分析」は若干意味合いが異なるが、同様の方法で戦略策定という目的が達成される。
SWOT分析が必要な理由
企業の長期計画がなぜ失敗したのかという問いに答えるのが、このフレームワークの原点であり、より長期的な視点の立ち、経営計画を策定していく必要がある現代では、SWOT分析の重要性が増している。SWOT分析における外部環境、内部環境の要素は企業によって異なるが、戦略策定や経営計画の手掛かりとして、3C分析と共に重要な役割を担うフレームワークと言えよう。
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